フィリパ・ピアス

定価: ¥ 756
販売価格: ¥ 756
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発売日: 2000-06
発売元: 岩波書店
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時間外の時間
トムはバーソロミュー夫人の家にオジサンに連れて来られる。13時の時計の音、その家の庭で遊ぶうちにハティと言う名の女の子と知り合いになる。トムは子供のままなのにハティはドンドン大人になってゆく。とうとうハティは大人になり未来の夫に出会った時、トムはハティの眼に写らなくなってしまう。トムにバーソロミュー夫人は自分がハティである事を打ち明ける。トムはバーソロミュー夫人が幼い頃を夢の世界で遊んでいたのであった。彼女は『変わらない物なんて何にもない。私達の思い出の他には』と言っている。先日作者のPhilippa Pearce女史が他界されました、合掌。時間と言う物を考えさせてくれます。良い作品です。
日本ではあまり有名ではないかもしれないけど…
とても感動的なお話です。
この本のすばらしい点は、トムとハティの2人の時間に伴う感性の変化の描写。
皆さんが子供から大人になっていると感じたのはいつ頃でしょうか?
社会人、成人式、大学生、高校生、はたまた中学生や小学生高学年など様々です。
その時、関わらなくなった物、もしくは人はいないでしょうか。
しかしそれは、大人になった今も変わらず大切だったりするでしょう。
そして確かに関わらなくはなったけど、今でもそれに触れる機会があるとつい感傷に浸ってしまうことがあると思います。
ディズニーなどはその類ではないでしょうか。
子供と違い大人はディズニーグッズを集めたりしない方が多いと思います(もちろん人それぞれですが)。
それでもつい、ディズニーランドへ行くとディズニーグッズが欲しくなったりすることがあるでしょう。
この本の主役はもちろんトムですが、大人が読むとこの本の主役はハティになると思います。
ハティは大人になります。その過程でずっと子供のトムは徐々にハティの中から消えていきます。
しかし、ハティは決してトムを忘れたわけではありません。それでもハティの中のトムは消えていくのです。
また、この本の本来の主役であるトムの視点から見ると正真正銘児童文学となります。しかし、この本を子供が読むのは少々難解かもしれません。
まず話が長く、漢字がそれなりに難しい。そして時間という概念が確固としていなければいまいちわからない話になるでしょう。
よって小学5年生以下が読むにはきついかもしれません。しかし、決して読む価値が無いわけでなく、難解な本を読めば頭の教育になるし、
感動的なお話なので心の教育にもなると思います。
子供にも、ファンタジーが読みたい大人にもオススメできる一冊です。
児童文学というフィルターのかかったミステリーのような
私は本書の結末で明らかになる秘密―時間を旅することの秘密―を期待すると、次から次へとページを繰る手が止まりませんでした。本書を手に取るであろう読者は子どもはもちろんのこと、大人であっても、トムの持つ冒険心に深い共感を覚えながら、共に時を超えて旅をしている錯覚を覚えることであろうと思います。本当に面白かった。
庭園が登場する物語としては、他に有名な『秘密の花園』があります。塀で囲われた庭園というのは、守られ監視されているという「子ども時代」「モラトリアム」を象徴しているということは有名な話ですが、本書ではその要素が顕著に見られました。
筆者も庭園という存在に意図的にその役割を与えていたように見え、トムという登場人物を通して読者に伝えていました。
いつまでも子どもでいたいというピーターパンのような願望を持っている大人は少なくないと思いますが、しかし子どもは早く大人になりたいと成長を急いでいます。その狭間にいる者の葛藤が、真夜中の庭のドアを開けては閉める鍵となっているのではないでしょうか。
子どもの頃に読んでおきたかった本のうちの一冊です。